舌を噛む原因は?病気の可能性と治し方

何度も舌を噛んでしまう原因には、筋力の低下や肥満、ストレスや疲れなどがあります。しかしそれだけでなく、歯科治療による影響や歯並びや噛み合わせのズレが原因の場合も。
本記事を読めば、あなたがよく舌を噛んでしまう原因がわかり、適切な対処ができます。ぜひ参考にしてください。

目次

何度も舌を噛んでしまう原因には、口まわりの筋力の低下、歯科治療による影響、ストレスや疲労の蓄積、肥満といったものがあります。さらに、顎のずれや噛み合わせの不具合、歯並び、歯ぎしりなど口腔の状態が関係していることもあります。
口まわりの筋力の低下
加齢や日常生活で噛む回数が少ない方、口を動かす機会が少ない方は口まわりや舌の筋力が低下します。
口まわりの筋力が低下すると皮膚がたるみ、頬を噛みやすい状態に。
舌も筋力が低下すると「低位舌(ていいぜつ)*」になるリスクが高まります。
低位舌は舌が正常な位置より低い位置にある状態なので、舌を噛みやすくなるでしょう。
舌の正常な位置は「舌をわざと噛む癖がある場合は要注意」の部分で解説しています。
歯科治療による影響
歯科治療で噛み合わせが変化し、舌を噛みやすくなるケースも。
入れ歯や被せ物・インプラントなどの治療を行うと噛み合わせを含めて口の中の環境が変わります。
特に入れ歯を新調した際、床となるプラスチック部分が歯茎に当たる違和感や窮屈感・食事で噛んだときの感覚の違いに、舌や頬を巻き込み噛んでしまう方が多いです。
噛み合わせを調整する必要がなければ、二週間ほどで慣れるので舌や頬を噛む頻度も減っていきます。
歯科治療で噛み合わせに変化がみられる治療を受けた際には、慣れるまで舌や頬を噛みやすいと覚えておきましょう。
ストレスや疲労の蓄積
ストレスや疲労の蓄積・体調不良など、身体の調子が整っていないと、舌や頬を噛むリスクが高くなるでしょう。
また、ストレスから癖で無意識に舌を噛んでしまう方もいます。
私たちの身体は通常、上手く噛めるようにあごの動きを脳がコントロールしています。
しかし、ストレスや疲労で身体の調子が整っていないと、脳の指令が上手く伝わらず、舌や頬を誤って噛んでしまう場合があるのです。
肥満
急激な体重の増加も頬や舌を噛む原因になります。
体重が増えると頬にも脂肪がつくので、内側に頬が張り出します。
張り出した頬は食事や会話の際に、巻き込んで噛みやすいので、体重の増加が思い当たる方は脂肪が原因の可能性があるでしょう。
あごのズレ・噛み合わせ
あごにズレが生じて噛み合わせが不安定な方も舌を噛みやすくなります。
あごのズレで代表的な症例として挙げられるのが顎関節症。
顎関節症は、顎の痛みのほかにも口が思うように開けられないなどの症状が現れます。
症状が出ると、会話や食事の際に思うように口を動かすことができず舌や頬を噛んでしまう場合があるでしょう。
歯並び
歯並びがガタガタしていると舌が動く範囲が制限されてしまい、舌を噛みやすくなります。
また、歯並びの影響で偏った噛み癖が習 慣化すると頬の筋肉のバランスが崩れる原因に。
筋肉のバランスが崩れると口を動かしにくくなるので、頬や舌を噛むリスクが高くなります。
歯ぎしり
起きたときにあごが疲れている・寝ているときに舌を噛んで目が覚める場合、歯ぎしりが原因の可能性があります。
歯ぎしりは寝ている間に無意識に行われるので個人差が大きいのが特徴です。
また、歯ぎしりは歯がすり減ってあごにズレが生じる原因になります。
歯がすり減ったり、あごにズレが生じたりすると噛み合わせが変化するので、さらに舌や頬を噛みやすくなる可能性が高くなるでしょう。

舌を誤って噛んでしまう場合もあれば、わざと舌を噛むのが癖になっている場合もあります。
無意識に上下の前歯で舌を噛んだり、前歯の裏側を舌で押し出したりする癖があると、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼします。具体的には、奥歯を噛み合わせても前歯が噛み合わない状態(開咬)になったり、出っ歯になったりするリスクがあります。
実際に マウスピース矯正 Oh my teeth 導入クリニックにも、上記のような舌癖があるユーザーさんが相談に来られます。そのような方には、矯正治療を進めるのと同時に、普段の舌癖にも注意を払うようアドバイスを行っています。
歯並びに悪影響を及ぼす舌癖をなくすには、舌の正しいポジションを知ることが大切です。下記のイラストをご覧ください。

これは上顎の裏側をイラストで表したものですが、リラックスした状態で舌先が赤丸部分にあり、全体が上顎についている状態が正しい舌のポジションです。
舌をわざと噛む癖がある場合は、気づいたときに舌の正しい位置を意識し、これ以上歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼさないようにしましょう。
舌癖のほかにも、歯並びが悪くなる習慣があります。詳しくは下記の記事も参考にしてください。

歯並びが悪い原因とリスクを解説!あなたの歯並びはどの種類?

舌を噛んでしまったら、出血している場合はまず止血しましょう。それから受診すべきかどうかは、傷口のなおり具合によって判断します。
まず止血する
舌を噛んで出血が見られる場合、口はゆすがないで先に止血を優先させましょう。
舌の止血方法は、手を綺麗に洗い清潔な状態にしてから、ガーゼやティッシュで傷口を押さえます。血が止まったのを確認できたら、軽く口をゆすぎましょう。
この方法で多くの場合、止血され自然治癒していきます。
しかし、舌を強く噛み傷口が深いと止血できない場合があります。血がなかなか止まらない・2〜3日経過しても傷口が治らず痛みが続くなどの症状がある場合は、細菌感染のリスクがあるのでクリニックを受診して適切な処置を受けることが必要です。
また、舌を噛んで内出血が見られる場合は、傷口を触らないようにすることがポイント。傷口が潰れてしまうと細菌感染のリスクが生じてしまいます。
内出血の場合、時間はかかりますが1週間ほどで自然治癒するでしょう。
市販薬でも対応可能
噛んだ場所が口内炎になることがあります。口内炎になるのは、細菌が侵入して炎症を起こしているのが原因。噛んだ傷口が深いと口内炎になるリスクが高いです。
また、慢性的に刺激が加わり口内炎になる場合もあるので、普段から同じ場所を噛んでしまう方も口内炎になりやすい傾向があります。
口内炎ができて辛い場合は、パッチや塗り薬でも対応でき、1週間ほどで治る場合が一般的です。
長引く場合は受診を検討
舌を噛んだ後、市販薬などを使用しても治りが遅い場合、クリニックを受診して適切な処置を受けましょう。
特に、何度も同じ場所を噛んでしまう場合、噛み合わせや歯並びにトラブルがある可能性が高いので一度確認してもらうことをおすすめします。

舌を繰り返し噛まないようにするには、原因別に対処する必要があります。例えば口まわりの筋力の低下が原因の場合、口まわりのトレーニングがおすすめです。あるいは歯科治療がきっかけの場合は、詰め物や被せ物を再調整してもらうのも効果的です。
口周りのトレーニングを行う
口周りの筋力の低下から舌や頬を噛んでいるケースでは、口周りの筋肉をつけるトレーニングで改善が期待できます。
舌のトレーニングでおすすめの方法が「あいうべ体操」です。
口を大きく開けることを意識して、口を縦に「あ」・口を横に「い」・口を尖らせて「う」と口を動かします。最後の「べ」で舌を出せるところまで下に伸ばします。
このトレーニングを1セットとし、食後10セットを目安に1日30セットおこなってみましょう。
毎日おこなうことで、舌に筋力が付くので舌の位置が持ち上がり、正常な位置に戻ることが期待できます。
舌が正常な位置に戻れば、舌や頬を噛む頻度も減るでしょう。
▼「あいうべ体操」を考案した今井一彰医師による解説
詰め物や被せ物を調整してもらう
新しく詰め物や被せ物・入れ歯など歯科治療をした後から、舌を噛むのが増えている場合、治療による噛み合わせの変化が原因の可能性が高いです。
何度も同じ場所を噛んでしまう・違和感を感じている場合は、治療を受けたクリニックに相談することをおすすめします。
歯科治療が原因の場合、クリニックで噛み合わせを確認してもらい、治療した部分を一度調整してもらうと改善するケースがほとんどです。
生活習慣を見直す
ストレスや疲労の蓄積・睡眠不足などが続いている場合、生活習慣を一度見直してみるのも有効です。
睡眠時間の見直しや、軽い運動・ゆっくりと湯船に浸かるなど規則正しい生活を送るだけでもストレスや疲れは軽減できます。
舌を噛んでしまう原因がストレスや疲れから出ている場合、手軽にできることから始めてストレス・疲れを解消するよう心掛けてみてください。
矯正を検討する
舌を噛む原因が噛み合わせや歯並びにある場合、矯正を検討してみてもいいでしょう。
たとえば歯並びがガタガタしているのが原因で舌を頻繁に噛んでしまっていた場合、矯正で歯並びが整うことで舌を噛みにくくなるだけでなく、噛み合わせがきれいに整うメリットもあります。
ただし舌を噛む原因を正確に判断し適切な治療を受けるには、クリニックを受診してドクターに診断を出してもらう必要があります。ほとんどの歯科クリニックでは初診料や検査料、診断料がかかるため注意しましょう。
こちらのクリニックでは「歯並びが原因で舌を噛みやすい状態になっているか」を無料で検査できます。初診料も無料なので、まずはお気軽に相談してみてくださいね。