インプラント治療の流れは?気になる期間・費用・痛みなど解説

歯を失った際の治療といえば一番に思いつくのが入れ歯。しかし、近年では入れ歯のほかにも、ブリッジ・インプラントなどの治療が注目されています。
そこで今回は、歯を失った際に行う治療のひとつであるインプラントについて、治療の流れ・期間・費用・気になる疑問などを府中みやまち歯科医院の加藤泰一郎先生監修のもとご紹介します。インプラントを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
加藤 泰一郎
1996年に日本歯科大学を卒業し、日本インプラントの第一人者である波多野尚樹に師事する。2002年にはスウェーデンウメオ大学にて顎顔面サージェリィーコースを修了。2004年に府中みやまち歯科医院を開院する。東京都歯科医師会、府中市歯科医師会、日本インプラント臨床研究会に所属。
目次
- インプラント治療とは?
- インプラントの費用相場
- インプラントの治療期間
- インプラント治療ができる人・できない人
- インプラント治療のメリット・デメリット
- インプラント治療の流れは?
- カウンセリング・検査・治療計画
- 術前処置
- 一次手術(インプラント埋入手術)
- 抜糸・仮歯調整(処置後2週間)
- 待機期間
- 二次手術(アバットメント取付)
- 型取り
- 完成
- メンテナンス・定期検査
- インプラント治療は痛い?
- インプラント治療でよくある質問
- インプラント治療は保険適用できますか?
- インプラント治療で歯がない期間はありますか?
- 術後気をつけることはありますか?
- 仮歯を入れたあと、すぐに食事をとることはできますか?
- インプラントは失った歯を取り戻したい方に適している治療法

インプラント治療とは?

インプラント治療とは、あごの骨に金属製のネジを埋め込んで土台を作り、その上に人工歯を取り付けて歯を再建する治療方法です。
インプラントで歯を再建するために使用するパーツ・素材は以下の通りです。
◆インプラントのパーツ
・歯根部(インプラント体)・・あごの骨に埋め込む土台部分
・支台部(アバットメント)・・歯根部と人工歯をつなげる部品
・人工歯(上部構造)・・いわゆる「歯」に当たる部分
◆パーツの素材
・歯根部(インプラント体)・・チタン、チタン合金
・支台部(アバットメント)・・チタン、チタン合金、ジルコニアなど
・人工歯(上部構造)・・レジン、セラミック、ハイブリッドセラミックなど
それぞれのパーツの素材は人体になじみやすく、安全性も高いものとなっています。
インプラントの費用相場
ほとんどの場合インプラント治療は自費診療となるため、治療費は高額傾向となります。相場は30〜40万円ほどです。
後述しますが、保険適用となるのはごく少数です。
インプラントの治療期間
インプラントは、口腔内の健康状態やあごの骨の状態などによって治療期間が変わります。個人差はありますが、平均3ヶ月〜6ヶ月です。
代謝速度や回復力は年齢や体質などによるため、同じ手術をしても次のステップに進むまでの期間にバラつきが出てしまいます。
また、虫歯や歯周病など先に行うべき治療があれば、そのぶん期間も長くなります。
手術後も定期的なメンテナンスが必要になるので心得ておきましょう。
インプラント治療ができる人・できない人
インプラント治療は、事故や歯槽膿漏、虫歯などで歯を失った方や、先天的に歯がない方が受けられる治療法です。治療本数は、1本からすべての歯まで対応可能です。
ただし、誰でもインプラント治療が受けられるというわけではありません。
インプラント治療は手術が必要なため、全身状態が悪い方、インプラントを埋め入れる予定部位のあごの骨が丈夫ではない方は治療を受けられない可能性もあります。
また、高血圧症や心臓疾患などの循環器系疾患、喘息などの呼吸器系疾患、糖尿病や骨粗しょう症などの既往歴がある方も注意が必要です。その他、歯周病などの基礎疾患がある方は必ず担当医師に相談しましょう。
また、顎の成長過程にある18歳未満のお子様や、18歳以上の方でも20歳くらいまでは顎骨が成長し続ける場合もあるので、実質、インプラントの対象年齢は20歳以上となります。
インプラント治療のメリット・デメリット
インプラントの最大のメリットは、セラミック歯や義歯・ブリッジ等の上部構造をしっかりと固定源に咬み合わせを回復できる※1ため、本来ある自分の歯のような感覚で噛めるようになることです。
また、人工歯にセラミックなどを使うことにより、天然の歯とほとんど変わらない見た目になります。
インプラント体やアバットメントはチタンやチタン合金のため、強く噛みしめても耐えられる強度があります。そのため、定期的にメンテナンスに通ってきちんとセルフケアをすれば、10年以上長持ちさせることも可能です。
一方、デメリットとしては、保険適用とならず治療費が高額になることが挙げられます。また、治療期間が比較的長いこと、術後も通院による定期的なメンテナンスが必要となることもデメリットです。
※1 咬み合わせの力を天然歯が100%だとすると、インプラントは90%、ブリッジは60%、義歯は30%と言われています。またインプラントは天然の歯根に比べ、歯のクッション材となる歯根膜がありません。
インプラント治療の流れは?

インプラント治療の流れや内容がわからず漠然とした不安がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
以下で順番に解説していきますので、具体的なイメージをつかんでみてくださいね。
カウンセリング・検査・治療計画
インプラント治療は麻酔をともなう手術を行うため、歯科医院選びがとても重要です。カウンセリングでインプラント治療のメリット・デメリットをきちんと説明してくれるか、費用や治療期間はどの程度かしっかり説明してくれるかなどを医院選びのポイントとするとよいでしょう。
疑問点や不安な点があればそのままにせず、必ず医師に確認してください。
医院を決めたら、まずは検査を行い診断を受けます。検査では主に、歯周病検査、噛み合わせ確認、CTによる骨密度や量などを調べます。
検査結果を踏まえ、医師が治療計画を立ててくれ、スケジュールや費用を提示してくれます。
術前処置
インプラントを行う部位に歯が残っている場合は、抜歯を行います。
一次手術(インプラント埋入手術)
検査を受け治療計画が出来上がったら、 インプラントの埋入手術をおこないます。
歯茎を開いて、インプラントを埋め込むための穴を作り、インプラント体を埋め込みます。その後、骨の状態が良ければ仮歯を入れます。(抜歯と同時に埋入することもあります。(抜歯即時埋入))
仮歯は見た目の回復や歯ぐきと馴染ませ安定させる目的があります。インプラントはしっかりと埋入固定されていますが、骨がしっかりくっつくまでは、なるべく患部では固い物を咬まないようにしなければなりません。
基本的なインプラント埋入手術は日帰りのため、入院する必要はありません。
抜糸・仮歯調整(処置後2週間)
一次手術後、2週間ほどでインプラントを埋め込む際に使用した糸を抜糸します。
必要に応じて仮歯の調整を行い、待機期間中の生活に支障が出ないようにします。
待機期間
インプラント体があごの骨と結合し一体化するまで、ある程度の時間がかかります。定着するまでの期間は個人差がありますが、平均2ヶ月〜3ヶ月程度です。
待機期間中は特に通院する必要はありませんが、もし埋入した部分に痛みや違和感がある場合は必ず治療を受けた医院に相談しましょう。
二次手術(アバットメント取付)
歯茎を再度開き、骨とインプラントが一体化していることを確認します。定着していることが確認できたらインプラントの先端部分にアバットメントを装着。必要に応じて仮歯も調整します。
処置後は1~2週間ほど、歯茎の形が整うのを待ちます。二次手術も入院の必要はなく、日帰り手術が可能です。
型取り
口の状態や噛み合わせに合った人工歯を作るため、型取りを行います。形や色など、周りの歯に馴染むように人工歯を製作します。
完成
型取りして出来上がった人工歯を土台に装着して治療完了です。完成直後、噛み合わせ、形態で納得いかない場合、修正は可能な医院が多いようです。
メンテナンス・定期検査
術後も3か月〜6か月に一度、定期的なメンテナンスや定期検査が必要です。家でのメンテナンスは自然の歯同様、ブラッシングを行います。きちんとメンテナンスを行うことで、インプラントを長持ちさせることが可能です。
インプラント治療は痛い?

インプラント治療は痛いのではと不安な方も多いかもしれません。
しかし、手術では局所麻酔を使用するため、施術中の痛みはほとんどありません。
麻酔が切れてくる痛みは出てきますが、痛み止めが処方されますので飲めば痛みは落ち着くでしょう。痛みの程度や長さは個人差もありますが、早くて2~3日、長くて1~2週間で痛みは消えます。
痛みや腫れが長引くようだと感染症などにかかっている可能性が高いので、必ず医師に相談しましょう。
インプラント治療でよくある質問

インプラント治療でよくある質問をまとめました。インプラント治療に不安のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
インプラント治療は保険適用できますか?
ほとんどの場合、インプラント治療は自費診療となります。ただし、事故や病気による骨移植や、先天性の疾患などの場合は保険が適用されます。保険適用の場合は、治療を施す医院にも条件があるので、事前に必ず確認しましょう。
インプラント治療で歯がない期間はありますか?
基本的にはありません。
インプラント治療は失った歯に対し行う治療ですが、虫歯などが進行しすぎて治療を行っても残すことができない歯は術前に抜歯を行います。その際に仮歯を入れる場合(抜歯即時埋入)もありますし、もともと歯がない場合であれば一次手術のインプラント埋入後に仮歯を入れます。
術後気をつけることはありますか?
食事は麻酔がしっかり切れたあと、やわらかいものから食べはじめると安心でしょう。
埋入箇所の傷口に大きな力がかからないよう、固いものを噛んだり飲酒や辛い物等の刺激物は控えてください。
また2日~数日はシャワーのみの入浴とし、長風呂は控えましょう。
術後すぐは患部を歯ブラシや指・舌で触ったり、激しいぶくぶくうがいは厳禁です。
激しい運動も控え、処方されたしっかり薬は飲み切り、安静にお過ごしください。
仮歯を入れたあと、すぐに食事をとることはできますか?
痛みがなければ、すぐに食事をしても構いません。ただし、いきなり力をかけると定着が悪くなるリスクがあるので、できるだけ柔らかいものを食べましょう。
インプラントは失った歯を取り戻したい方に適している治療法
今回は、インプラント治療の概要、流れや期間・費用などを紹介しました。
インプラント治療は、虫歯や怪我で失った歯を取り戻したい方に向いている治療です。最後にメリット・デメリットを確認しておきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
自分の歯のような感覚で噛めるようになる | 治療費が高額 |
天然の歯とほとんど変わらない見た目になる | 治療期間が比較的長い |
長持ちさせることが可能 | 術後も通院による定期的なメンテナンスが必要 |
メリット・デメリットを理解したうえで、選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。
本記事の監修医師のクリニックはこちら
また、選択肢のひとつに歯科矯正も検討されてみませんか?
マウスピース矯正の Oh my teethでは、カウンセリング・精密検査・診断料が無料で矯正の相談ができます。