オールセラミッククラウンとは?費用・メリット・デメリットまとめ

オールセラミッククラウンとは、歯が欠損してしまったときに使用する被せもののこと。材質はすべてセラミックのため、審美性が高く金属アレルギーになる心配もありません。
しかし、オールセラミッククラウン治療は保険が適用されないため、費用がいくらかかるか気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、エムズデンタル 増井 康典先生監修のもと、費用はもちろん、メリット・デメリット、セラミッククラウンの種類も併せて紹介します!
オールセラミッククラウンを検討中の方は、ぜひ最後までご覧くださいね。
増井 康典
1993年に日本歯科大学を卒業後、東京医科大学病院歯科口腔外科学講座、医療法人金井歯科医院に勤務し経験を積む。2009年にエムズデンタルを開院。日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会に所属している。
目次

オールセラミッククラウンとは、虫歯治療で使われる全てセラミックで作られた歯の被せ物のこと。審美性の高 い治療なため保険は適用とならず、自由診療で受けなければなりません。
一般的に虫歯治療で使われる銀歯やCAD/CAM冠は保険適用となるため安く治療を受けられますが、「銀歯は虫歯菌が侵入しやすい」「CAD/CAM冠はセラミックよりも白さが劣る」などのデメリットもあります。(CAD/CAM冠はセラミックとプラスチックを合わせたハイブリットレジンと呼ばれる白い素材でできた白い被せもの)
一方で、オールセラミッククラウンに使われているセラミックは汚れを寄せ付けず変色しない特性があるため、見た目への悪影響も出にくいです。強度もCAD/CAM冠(ハイブリッドレジン)よりも強いです。

オールセラミッククラウンは「非常に審美性の高い被せ物」であることのほかに、「金属アレルギーでも使用できる」「歯茎が変色しない」など、大きく4つのメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。
審美性が高い
これまでも多々触れてきましたが、オールセラミッククラウンの最大の特徴は、なんといっても審美性が高いこと。天然歯に近い色味・透明感・ツヤがあるため、見た目への影響が出にくいです。
白さが長持ちする
セラミックには汚れが付きにくい特性があるため、時間経過で変色することが少ないです。白さが長持ちするので、他の被せ物と比較しても、美しい口元を保ちやすいです。
金属アレルギーでも使用できる
オールセラミッククラウンは、金属は一切使用されていません。ですので、金属アレルギーの方も装着できます。
歯茎が変色しない
金属を使用する被せものを装着した場合、「メタルタトゥー」と呼ばれる金属の溶け出しが起こる可能性があります。
その結果、歯茎が黒ずんでしまうのです。この歯茎の黒ずみは、原因となる金属の被せものを取るだけでは除去できず、入れ墨と同じようにレーザーでの除去が必要になります。
オールセラミッククラウンのデメリット

オールセラミッククラウンには「衝撃に弱い」ことや「保険適用ではない」など、デメリットもあります。それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。
衝撃に弱く割れることがある
セラミックは衝撃に弱いという弱点があります。そのため、どこかにぶつかって強い衝撃を受けたり、強い食いしばりや嚙み合わせの癖があると、割れてしまう可能性があります。
保険適用ではない
オールセラミッククラウン治療は、自由診療です。そのため、保険適用である銀歯やCAD/CAM冠に比べると、費用は高額になります。費用については次章で詳しく解説します。

オールセラミッククラウンのデメリットとして、費用が高額なことを挙げました。
実際の費用は、1本あたり8~18万円が相場です。
オールセラミッククラウンは自由診療ですが、ハイブリッドセラミックの被せ物は保険適用になる場合があります。保険適用を受けるには条件がありますので、条件を確認しておきましょう。
種類
CAD/CAM冠、CAD/CAMインレー
施設基準
厚生労働省に施設基準の届け出を行い、認可された歯科医院であること
歯科補綴治療に係る専門の知識及び3年以上の経験を有する歯科医師が1名以上配置さ れていること
保険医療機関内に歯科用CAD/CAMが設置されている場合は、歯科技工士を配置していること
保険医療機関内に歯科用CAD/CAMが設置されていない場合は、当該装置を設置している歯科技工所との連携が図られていること
引用:厚生労働省 「保険診療と個別指導(歯科) 施設基準」
また、オールセラミッククラウンは審美目的ではなく、生活に必要な歯の機能を補う治療であれば医療費控除をうけられます 。
「生活に必要な歯の機能を補う治療」という点がポイントで、たとえば、子供の成長を妨げる原因となる歯を歯列矯正したり、食生活が困難になってしまうほど多くの歯を失ってしまった場合などが対象です。
審美のみを目的とする場合は対象外なので、受ける治療が医療費控除の対象となるかどうかについては、必ず事前に医師に相談しましょう。

こちらで は、オールセラミッククラウンの「寿命」「メンテナンス」「対象年齢」など、よくある質問に答えます。
オールセラミッククラウンの寿命は?
オールセラミッククラウンの寿命は、約8~15年と、幅があります。これは咬み合わせ、食事環境など、口腔内環境によって寿命年数が変わるからです。寿命が来たら土台となる歯の健診と交換をおすすめします。
定期的なメンテナンスは必要?
検診や清掃など、定期的にメンテナンスしましょう。むし歯、歯周病、咬み合わせ、顎位など、口腔内環境は経年変化するからです。検診の頻度は、歯科医院によっても異なりますが、3ヶ月~半年~1年に1回程度です。
オールセラミッククラウンは何歳でもできる?
オールセラミッククラウンは、乳歯が完全に生え変わるまでは控えましょう。乳歯に施術したとしても、いずれ抜けて生え変わってしまいます。
また、乳歯が完全に生え変わったらすぐに行うというのはおすすめしません。歯肉の状態が安定する20歳以降が良いでしょう。
また、虫歯や歯周病など、歯の土台に問題が無ければ年配者でもオールセラミッククラウンが可能です。
オールセラミッククラウンとジルコニアクラウンは何が違う?
オールセラミッククアンとジルコニアクラウンでは、素材が異なります。
ジルコニアクラウンは、人工ダイヤモンドとも呼ばれる白い材料、ジルコニアを使用したかぶせ物です。
人工ダイヤモンドと言われる所以は、その高い硬度にあります。硬いものを噛むときなどによく使う奥歯への使用が適しています。ただし、透明感はオールセラミッククラウンに劣ることに留意しておきましょう。
オールセラミッククラウンを装着するには神経を抜かなければいけない?
結論から言うと、オールセラミッククラウンの治療では神経を抜くことが必須ではありません。
ただし、オールセラミッククラウンの治療では、クラウンを被せやすくするよう、歯を削る必要があります。
大きく削れば削るほど、歯の内側にある「歯髄」と呼ばれる神経に達し、激しい痛みを感じる場合もあります。そのような場合は、歯から歯髄を抜かなければなりません。
歯の削り具合によって神経を抜く要否は変わることを覚えておきましょう。
オールセラミッククラウンは天然歯に近い白さで審美性が高いため、人目に触れる歯への使用がおすすめです。また、汚れを寄せ付けにくく、白さも持続するため、美しい口元を保ちたい方に選ばれています。
保険適用ではなく高額というデメリットはありますが、寿命が8~15年なので、それほどコスパも悪くないと言えるでしょう。
しかし、自分に適した被せものは1人1人違いますので、必ず信頼のおける医師の診察・アドバイスを受けましょう。
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